Manfrotto 410+当店オリジナル延長クランプベース+KIRK製2.6インチ専用クランプ
マンフロット製ギア付きジュニア雲台410の未使用展示品が3台入荷しましたので、数量限定でKIRK Modelとして販売します。雲台本体は当店にて分解整備しギア駆動部のグリースも入れ替えてあります。新品そのままで販売するにはいろいろと問題がある雲台ですが、この3台だけは少なくとも初期不良の可能性はありません。
ギア式雲台は言うまでもなく微細な構図変更がギア駆動にて行えることが最大にして唯一の利点です。粗動ノブとギア駆動ノブが同軸上に位置しているので配置もわかりやすく、各ノブの操作は重いものの微妙な構図変更や決定には便利です。ブツ撮りやマクロ撮影で愛用している方も多い雲台ですが、雲台本体に造り付けとなっているクイックリリースは取り外しのレバー操作がしにくく、分厚いゴムが貼られた巨大としか言いようのない410プレートの評判はよろしくありません。
そこで以前からアルカスタイル化したいというご要望が数多く寄せられ、KIRKでもSQRC-3271という商品を販売していました。ただマンフロット側の仕様変更によりキチンと合わない組み合わせが出るようになったため製造が終了となり、当店ではアメリカのHejnar製のクランプベースを使ってインストールサービスのメニューに加えました。その後今度はKIRKのクランプリニューアルに伴いそのままでは取り付けができなくなってしまったため、当店オリジナルのクランプベースを製作するようになりました。これがここ10年の流れです。
アルカスタイル化することにより着脱と機材と雲台の接点となる部分の安定性は格段によくなりますが、販売するからには雲台本体のネガティブな部分に触れておかないといけません。まずこの雲台の特徴として、各軸はギアが噛み合った状態で止まりますがそこから締め付けてロックすることはできません。もちろん傾けた状態からそのままお辞儀をしてしまうようなことはなく、バックラッシュを最小にするためギアをバネで押さえつける構造となってはいますが、ブレに対する耐性はあまり高くありません。実際完調な個体でも雲台トッププレートを掴んで揺するとカタカタと動いてしまいますので撮影時には注意が必要です。
またその独特な構造ゆえに、パン軸以外の左右ティルトと上下ティルトのギアは重心点からの距離があり、てこの原理により支点となるギアにはかなりの負荷が掛かります。途中でギアの材質変更もありましたが、どうしてもギアの減りは早く耐久性には難があり、雲台全体の剛性もあまり高いとは言えません。
各軸をキチンと固定することができる3ウェイ雲台の代表として、耐久性も抜群なHUSKYヘッドと比較すると差があることは否めませんが、もちろん部品交換を含む修理体制は確立されていますので大きな問題とはならないと思います。
当店での作業内容
雲台本体を分解し、ギア駆動部分のグリースを入れ替えて組み立て直し。
マンフロット製のクイックリリース可動部分(レバー等)を全て取り外し、トッププレートをクリーニング。
当店オリジナル延長クランプベースの素材は2017ジュラルミンとし、CNCフライス切削加工により一体成形。ブラックアルマイトにて表面処理を行った後に2本のボルトでトッププレート裏面から固定。
KIRK製専用クイックリリースクランプ(2.6インチQTTタイプ)を上面よりボルト装着。
付属の六角レンチでクランプ中央ボルトを緩めればクランプの向きは90°ずつ全方向にセットすることができ、ベースの凹部とクランプ裏の凸部が噛み合った状態で固定されるため回転方向に緩んでしまう心配がない。
マンフロオリジナルの無駄に大きなプレートも、それに貼り付けられている分厚いゴムも、使いにくいレバーリリースもすべて撤去され、快適で信頼性の高いアルカスタイルでの運用が可能。
またオリジナル状態では三脚の中心軸上に機材を設置することができないという摩訶不思議な雲台だが、クランプベースを延長することにより三脚の中心軸から雲台取り付け面、パンニング、クランプ、機材、それぞれの中心を一直線上にセットすることが可能となった。