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アルカスタイルを選択する時代

アルカ互換でもアルカ規格でもない話

アルカスタイルで10年目

2010年3月に楽天市場にて営業をスタートしたスタジオJinも丸9年、10年目に突入することとなりました。まずは日頃ご愛顧いただいている皆様に心からの感謝を申し上げます。楽天市場にて5年、自社サイトに移行して4年の間にカメラ業界にもいろいろと変化がありました。特に9年前には一部のマニア(私個人も含めて)とも言える人の間でしか認知されていなかったアルカスタイルも急速に広がり、完全に世界標準となりました。

実はこの原稿を書いている前日は私も毎年足を運んでいるCP+2019の初日でしたが、いまや出展している主なカメラアクセサリーメーカーは全てと言っていいほどアルカスタイルを採用してきました。中国の新興メーカーはもちろん、旧来のGitzoやManfrottoも完全に軸足を移しています。日本のSLIK・Velbonも新製品はアルカスタイルをメインではなくとも何らかの形で採用し、2019年は全ての大手三脚メーカーがアルカスタイルを正式採用した元年となりました。カメラメーカーが販売する純正グリップの底面や、レンズメーカーの三脚座にアルカスタイルのダヴテイルが成型されているものも増えてきました。当店も多少関わらせてもらった部分もあるのですが、初めてスタジオJinの名刺を持って各社のブースを回り、「誰?」という顔をされた日を思い出すと隔世の感があります。

今回の特集は初心にかえって「アルカスタイルって何なの?」というお話をしてみたいと思います。以前はネット検索をしてもほとんど情報がありませんでしたが、現在は明らかに間違った内容も含めて氾濫しています。お問い合わせに私が返信したり電話でお話ししたことがそのままネット上に掲載されていたりしたこともありましたので、一度キチンと整理したいという思いもあります。なおクイックリリースシステムの詳細につきましては前回特集「クイックリリースの極意」をご一読いただければ幸いです。

アルカスタイルの歴史

本題に入る前に、アルカスタイルがどのように誕生し最初の広がりを見せたのかを知っておく必要があります。

アルカスタイルの「アルカ」とは、アルカスイスを意味します。ご存じない方もいらっしゃるかもしれませんが、Arca-Swiss(アルカスイス)社は1950年代からプロ用のビューカメラを生産している由緒あるカメラメーカーです。雲台の生産を始めたのは1964年と言われていますが、後年カメラ台に自社ビューカメラの38mm幅のレールを固定するために専用のクランプが備え付けられたモデルが発売されました。天体望遠鏡の固定には他のサイズのものが以前からあったようですが、カメラを雲台に固定する方法としてはこれがアルカスタイルのスタートです。自社のカメラをどう固定し、どう動かし、どう撮影するかという視点で開発されたモノボールヘッドは評価も高く、逆に言えばプロ用カメラメーカーが本気で開発した雲台ですからおかしなものが出来上がるはずがないんですね

ただこのクランプ仕様のボール雲台はあくまでもアルカスイス製カメラのために作られたものですから、他社のカメラを固定するには不都合が生じてしまいます。現在でもアルカスイス製の汎用プレートは平らな金属板の下にダヴテイルが下駄状に成型され、安定性も特別優れているわけではありません。アルカスタイル(当時この呼び方があったかどうかは定かではありませんが)はカメラを固定する方法の一つとして認知され、他社で採用されることもありましたが主流にはなりませんでした。

KIRKとRRS、アメリカの二大巨頭

そして少し時間が流れてから登場するのは、いずれもアメリカのKIRK Photo(カークフォト:以下KIRK)社Really Right Stuff(リアリーライトスタッフ:以下RRS)社です。歴史はKIRKの方が少し古いようですが、どちらが先かという話しよりもそのアプローチが異なるというところがミソです。本当はWimberley(ウィンバリー)も含めた三大巨頭なのですが、望遠に特化したラインナップが多く話しが広がりすぎてしまうのであえて今回は触れません。

KIRK(現在:KIRK Enterprise Solutions)の創業者は自身がプロカメラマンで、1980年代から雲台の開発に着手し、あくまでも自分が使うためのボール雲台としてBH-1を完成させます。私はこの初期型のものをオーバーホールした経験がありますがその完成度は現行のものと遜色ありませんでした。またやはり自分が超望遠レンズを快適に使用するために、ジンバル形式のキングコブラを世に送り出します。これは横からレンズを支える方式でしたからクイックリリースは必須で、その手段としてアルカスタイルを採用し、自身のカメラやレンズに合わせたプレート類を次々と開発していきます。

最近でこそ少し見た目にも気を遣うようになってきたKIRK製品ですが、根本にはプロカメラマンとして撮影結果に直結するものだけを装備し、必要でないものは極限まで切り捨てるというコンセプトがあったために、特に初期製品の見た目はいかにも武骨で、飾りっ気の一切ないまさにプロの道具といった風情の製品でした。アルカスイス社がカメラメーカーとして本気で雲台を開発したのと同様に、プロカメラマンとして自分が使うための道具を本気で製作したKIRK製品にはそれぞれにこだわりの理由があります。

KIRK Logo

RRS Logo

一方のRRSは、1990年からカメラプレートの生産を始めたそうです。それまで汎用性を持たせて作られていたアルカスタイルのプレート類に満足せず、各カメラの機種ごとにReally Right(本当にピッタリ)に合わせたプレートを製作し、アルカスイスのクランプ仕様雲台を他社カメラでも安定して使えるようにすることに成功します。クランプもアルカスイス製の雲台に合うように開発されたため、後年発売された自社製雲台もクランプの固定方法はアルカスイスと全く同じで、唯一違うのは固定ネジの規格だけでした。

RRSの製品は初期の頃から機能美とともに「こうしたほうが便利」「こうしたほうがカッコいい」という実用一辺倒ではない視点がありました。幅広いアクセサリー類の開発から近年ではカーボン三脚の製造も始め、コストを度外視したというGitzoよりもさらにコストを掛け完全に上回る性能となっています。賛否両論あるレバーリリースのクランプも改良が重ねられ、最近のモデルでは保持すらできないという組み合わせはだいぶ少なくなったようです。プロカメラマンとは違う方向から開発された商品群はハイエンドを求める顧客に受け入れられ、現在はKIRKよりも大きな規模のメーカーに成長しました。

ところで日本で生活しているとあまり意識することがないのですが、スイスはメートル法を使う国、アメリカはヤード・ポンド法を使う国です。意外かもしれませんがこれは各国法律で決められており、たとえば日本でインチの目盛りが印刷された定規やメジャーを販売すると計量法違反となります。アルカスイスはスイス(現在はフランスですがフランスでも)の常識通りにミリメートルを単位として設計され、アメリカでは当たり前にインチを単位として製品開発がなされます。

もともとこの2社(ウインバリーも含めると3社)の製品は厳密にアルカスイスに合わせようという気はさらさらなく、ましてや世界標準のクイックリリースを作って業界を制覇してやろうという気もおそらくなく、基本的には自社製品の互換性と安定性を優先して設計されたものでした。そのためインチを単位とした設計に都合がよく、作りやすい数字で出来上がっている部分があります。結果的にこの3社のプレート形状はほとんど同じですので、当店で互換性を保証できるのはこの3社のクランプ・プレートの組み合わせのみとなります。

一気に氾濫するアルカスタイル

アメリカの他メーカーや、ドイツのNOVOFLEX(ノボフレックス)FLM、スイスのFOBA(フォーバ)など世界でも多数のメーカーがかなり以前からアルカスタイルを採用しています。ただやはりそれぞれが独自の基準と公差(結局は自社の都合)に合わせて製品開発をしてきたので、横目で他社製品は見ていたかもしれませんがその時点ですでに各社バラバラだったというのが現実です。アルカスタイルとは文字通り「スタイル=形式」を表すものであり、アルカスイス社の製品に合わせようとして採用されたものではないのです。

そしてここ数年の間で爆発的と言ってもいいほどの広がりを見せています。新興メーカーではロットによってサイズが大きく変わったり、そもそもプレート幅が38mmでないものまであったりと余計に複雑化しました。それなのに「アルカ互換」「アルカ規格」などといった不思議な言葉が踊っています。もともと互換性を持たせるためのシステムではなく、ましてやJIS(日本工業規格)やDIN(ドイツ工業標準)のようにキチンと規格化されたものでもありませんから、合わせようとする方に無理があるのです

もちろんこれはユーザー側から見ると厄介な話で、完全な互換性がありどのメーカーでも安心して使えるのが理想ではありますが、こういった成り立ちを考えると現状でそれは望めません。万が一の落下事故はプロカメラマンであれば絶対に避けなければなりませんし、アマチュアの方にとっても写真撮影を楽しむどころではなくなってしまいます。やはり安全性を重視し信頼性を高めるためには、プレートとクランプは同じメーカーで揃えるのがベストです。

余談ですが、ほぼ全てのカメラ底面に設けられている三脚ネジ穴は1/4-20UNCというASA(アメリカ国家規格協会=現在はANSI)が制定した数字にのっとって作られていますから、よほどの粗悪品でない限りキチンと取り付けができます。フイルム世代の方にはASAという略語にピンとくる人も多いと思います。DIN感度・ASA感度という言葉はフイルム撮影をされていた方にはお馴染みですね。フイルムの感度表示もそれぞれ規格化されていましたが、現在はASAとほぼ同じ数字でISO(国際標準化機構)に統一されています。アルカスタイルが規格化される日は来るのでしょうか・・・。

迷う大手メーカー

アルカスタイルが規格化されないうちに一気に広がってしまって困ったのは責任ある大手メーカーです。

▶ひとことでアルカスタイルといっても明らかに2種類(精度が出ていないメーカーを合わせればそれこそ無数!)のプレートが実際に存在し流通している。

▶ワンタッチ式やレバー式のクランプの固定力はどうしてもプレートの加工精度に依存してしまうので、どういったプレートを使うのかがわからない限りは安易に「互換」とも「対応」とも書けない。

▶加工精度の低いプレートとの組み合わせで万が一落下事故などが発生すると、どうしても保持する側が悪いような錯覚が広がってしまいブランドイメージが悪化する。補償問題や訴訟ともなると大変。(以前アルカスイス社も似たような話でひどい目に遭ったことがあり、それ以来ユーザーによるクランプ交換を認めなくなりました。)

▶大手メーカーのプライドとして、さすがにいまさら他社と全く同じ形式のクランプを作って「新製品です」とは言えないし言いたくない。(半分想像ですが本音かも)

――といった様々な理由でアルカスタイルへの参入には二の足を踏んでいました。大手メーカーでアルカスタイルを意識した製品を最初に出したのはGitzoだったと思いますが、Cプロファイルのクイックリリースに装着してアルカスタイルに対応させるアダプターを販売していた時期もあります。完全にアルカスタイルを採用した最新シリーズのセンターボール雲台に装着されていたクランプも最初はワンタッチ式で、自社製のプレートはアルカスイスオリジナルの形状に近づけておいて、KIRKやRRSの製品を使う際にはなんの表示もなく同梱されているロックパーツを交換することでこっそり対応するという涙ぐましい製品を経て、現在はオムスビ型のノブ式クランプに統一されています。

他社も様々な方法で対応しようという試みはありましたが、ざっと見まわしたところ現状のクランプは一番無難でオーソドックスなノブ式(でいいや)というメーカーが多いように思います。ただノブ式はプレートに多少の加工差があってもネジの締め加減でそれをを吸収してくれますが、中にはクランプをいっぱいに締め込んでもそれ以上にプレート側が細くて締め付けられないという製品(これはプレートの加工精度の問題です)も存在しますので注意が必要です。

特筆すべきメーカーとさらなる広がり

アジア勢では、韓国製のMarkins(マーキンス)は最も品質が安定していると思います。アルカスイスB1を初めて小型化し、ボールをコーティングすることによってなめらかな動きを実現した雲台は、機材が軽量化した現在にはジャストフィットな場面が多いかもしれません。超望遠用のリングプレートや、テンションを効かせたボールヘッドを2ウェイのビデオ雲台のように使うという発想もオリジナリティに富んでいます。マーキンスをコピーしたメーカーも多いですね。

中国製のSIRUI(シルイ)も初期の頃はいかにも見様見真似で製品を作っていたという印象がありますが、オリジナルと呼べる製品も出てきましたので注目はしています。特に三脚の中心線の真上に機材を装着でき、パン棒を折りたたんでコンパクトに収納できる3ウェイ(ダブルパノラマなので4ウェイですが)雲台の設計は秀逸で、入手して長期テストをしてみるつもりです。

日本陣営はというと、SLIK(スリック)はグループ内にKPI(ケンコープロフェショナルイメージング=アルカスイス日本総特約店)があるからか、比較的早い段階からアルカスタイルのクランプやプレートを販売していましたが、正直あまり褒められた出来のものではありませんでした。ただ今年発表された小型ジンバル雲台や、数年前に参考出品されまだ製品化されてはいませんが3ウェイのギア雲台などには意欲的な部分が見え(隠れ)しています。いずれにしてもアルカスタイルは必須と考えているようですので今後に期待しています。

また自社規格にこだわり続けてアルカスタイル参入には最後まで頑なに見えたVelbon(ベルボン)もさすがにユーザーのニーズを無視し続けるわけにはいかなくなったようです。もちろんそこに商機があるという判断と、乗らなければ取り残されるという危機感もあってのことかと思いますが、「今年の売りは?」との問いかけに「アルカスタイルとの二本立てです」と返ってくる時代になりました。もちろん今までの自社クイックシューユーザーを一気に切り捨てることはできませんから二本立ては必然ですが、ニコンダイレクトでOEM販売している三脚・雲台セットは一足早くアルカスタイルが標準となりました。まだまだクランプもプレートも改良の余地はあると思いますが、今後一気にアルカスタイルにシフトしていく可能性があります。

そしてあまり馴染みがないかもしれませんが、動画撮影用のリグやスライダーを製造するKessler(ケスラー)Zacuto(ザクート)でもアルカスタイルに合わせたクイックリリースシステムが使われていたりします。静止画撮影用のカメラでの動画撮影はとっくにおまけの機能ではなくなり、動画と静止画の双方の撮影を楽しまれている方も多いかと思います。ただ動画と静止画では三脚や雲台に求められる性能がかなり異なります。いままでに当店でもSachtler(ザハトラー)のアルカスタイル化など手掛けてきましたが、まだまだ可能性のある分野だと思っています。

スタジオJinにできること

以前の特集でも触れましたが、プロ用のカメラ・レンズで現在圧倒的なシェアを持つCanonもNikonも近年優勢なSONYも、自社では三脚も雲台も製造していません。ということは脚部から雲台、カメラ、レンズをまとめて一本通したシステムとして考え、全ての製品の製造に関わっている人が日本メーカーの中には存在していないということになります。この分断によって起こっている弊害は確実にあると思うのですが、今後の動きに期待している部分もありますのでここでは語りません。ただ現状ではユーザーが三脚を選び、どの雲台を使用し、どういう接続システムを使って自身のカメラやレンズを固定すればいい結果が出るのかということを総合的に学び、考え、選定する必要があります。こちらも以前書きましたが、三脚を使った撮影をする際にはどの部分に問題があっても満足のいく撮影はできません。カメラ・レンズに求める信頼性や使いやすさは三脚・雲台にも同じレベルで要求され、それは互いを繋ぐクイックリリースシステムもイコールでなければならないと思っています。そのために当店がお手伝いできる部分はもっとあると思っています。

おそらく日本初だったアルカスタイル専門店もようやく10年目に入り、私もそろそろアルカスタイルのプロと名乗っても誰にも怒られないような気がしてきました。KIRK本社とのパイプもだいぶ太くなりましたので、日本のユーザーの意見を製品に反映させられるような話は続けていきます。ただどうしても生産が追いついていない部分があり、ご注文いただいた方々にはご迷惑をお掛けしてしまっています。その解消もしていかなければなりません。といってもKIRKだけにこだわるつもりはありません。各社から出揃うのであればきっちりと吟味し、いいと思うものは積極的にご紹介していこうと思っています。クイックリリースはもちろん脚部や雲台についてご不明点があればお気軽に声をお掛けください。ここには書けない裏話もお電話ではお話ししてしまうかもしれません。当店で最初に販売した商品も10シーズン目を迎えるわけですからメンテナンスが必要になってくる製品があるかもしれません。いろいろな意味で当店を利用していただければと思います。まだまだ働きますよ。今後ともよろしくお願いいたします。

(2019年3月)